2025年はAIエージェントの年である。AIエージェントとは自律的に行動して目的を遂行するAIのことであると一般に言われている。では、ここでいう自律とは何か、どのように遂行するのかについて考えてみる。

 AI研究者のAndrew Ngさんによると、AIエージェントの技術は次の4つであるという。

  1. reflection (LLMに間違いを修正してというと修正してくれる)
  2. tool use (マウスとキーボードを操作できるようになる)
  3. planning (reasoningであり、o1がこれに大きく寄与する)
  4. multi agent collaboration(複数のAIの協働)

 これら4つの要素がもたらす革命は、AIが単にパターン認識、計算タスクや情報検索にとどまらず、自律的な意思決定者へと進化する点である。このプロセスは、よくいう『PDCAサイクル』と同じであり、エージェントはただ過去の行動を振り返り(Reflection=Check)改善するだけでなく、その振り返りから戦略(Planning=Plan)を生み出し、具体的なアクション(Do=Tool Use)へ落とし込み、再度その結果を評価し、修正する(Act=Planningへ戻る)という、持続的な最適化ループを回せる存在となる。

 さらに、複数のエージェントが相互作用(Multi Agent Collaboration)することで、個々のエージェントが獲得した知見や戦略が相互に補完・強化され、単体では得られない高度な意思決定や問題解決能力を獲得する。これは、聖徳太子のいう十七条憲法の第十七条「夫れ事独り断むべからず。必ず衆(もろもろ)とともに宜しく論(あげつら)ふべし。」に対応する。まさに、集団知能(Collective Intelligence)の萌芽と言え、人間社会における知的生産や創造的共同作業モデルを、AI空間で再現・拡張するものとなる。